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スーダン
904万人が国内で家を追われ、280万人が国外へ逃れました。3,370万人が人道支援を必要としています。 世界最大の避難危機であり、飢饉が実際に確認されている数少ない場所です。 それなのに、日本語で読める情報はほとんどありません。
スーダン
Republic of the Sudan
- 地域
- 北東アフリカ
- 首都
- ハルツーム
- 人口
- 約4,680万人2024年推計
世界最大の避難危機が起きています。規模のわりに、日本語の情報が極端に少ないです。
※このページの指標は、他国と異なります。 戦争のため貧困統計が取れず、他国で使っている「貧困線を下回る人の割合」を出せません。 代わりに避難民数と人道支援の必要人数を載せています。他国の数字と直接は比べられません。
このページの数字は、他の国のページより速く古くなります。 貧困統計は年単位で動きますが、戦争は月単位で動くからです。 だから各数字に「いつ時点か」を書いています。 最終確認は2026年9月23日。それ以降の変化は反映されていません。 最新の情報は、出典元でご確認ください。
誰と誰が、なぜ戦っているのか
2023年4月15日、スーダン国軍(SAF)と、準軍事組織の 即応支援部隊(RSF)のあいだで戦闘が始まりました。
この2つは、もともと敵同士ではありませんでした。 2019年に30年続いたバシール政権が倒れたあと、両者は手を組んで軍事評議会を握り、 2021年のクーデターでも協力しています。つまり権力を共に奪った側どうしが、 その配分をめぐって決裂したのが今回の戦争だと見られています。
争点は、RSFを国軍にどう統合するかでした。指揮権を誰が持ち、どのくらいの期間をかけるか。 民政移管の交渉が進むなかで、この一点が合意できず、首都ハルツームで戦闘が始まりました。
押さえておきたいのは、どちらも民主化を求めた市民の側の勢力ではないという点です。 市民が求めた民政移管は、2つの武装勢力の対立に押しつぶされました。
なぜ世界最大の危機なのか
数字が示すのは、戦闘の激しさより広がりの速さです。 開戦から1年ほどで推計15万人が死亡しました。 3年目に入った2026年4月時点で、国内避難民は904万人。その63%がダルフール地方に集中しています。 人道支援を必要とする人は3,370万人で、国連が把握する国別の数としては世界最多です。
そして飢饉です。IPC(統合的食料安全保障レベル分類)という国際的な基準で、 最も深刻な「フェーズ5=飢饉」が北ダルフール州エルファシェルと南コルドファン州カドゥグリで 確認されました(2025年11月時点)。さらに20以上の地域が、戦闘の激化や支援の遮断が続けば 飢饉に陥る恐れがあるとされています。
ここでの「飢饉」は、たとえではなく、定義のある分類です。 IPCフェーズ5は、世帯の20%以上が極度の食料不足に直面し、 急性栄養不良と死亡が一定の水準を超えた状態を指します。 報道で「飢餓」と訳されることがありますが、この分類が宣言される例は世界でも稀です。
気候のリスク — 戦争の原因だったのか
スーダンの気候の話は、戦争の話と切り離せません。ただし、ここは研究者のあいだでも評価が分かれています。 両方の見方を置きます。
国連環境計画(UNEP)は2007年の報告で、ダルフールでは土地の劣化・砂漠化と紛争のあいだに非常に強い関係があるとし、 雨の減少が遊牧民の社会に大きな負担をかけ、紛争の一因になったと述べました。 ダルフールでは1973年から2006年までに森林の3分の1が失われています。
これに対し、2008年の査読論文(Kevane & Gray)は雨量の記録を調べ、 2003年の戦闘が始まる前の数年に、雨が特に減っていたわけではないことを示しました。 気候だけでは紛争を説明できず、土地や水をめぐる政治の問題が大きい、という見方です。 UNEP の報告自身も、環境の要因は社会・政治・経済の問題と絡み合っていると書いています。
戦争の原因かどうかとは別に、戦争中の国は災害に弱くなりやすいと考えられます。 2024年8月には東部で豪雨によりアルバアト・ダムが決壊し、20の村が流されました。 戦闘で行政や支援が届きにくいなかで起きた災害です。
なぜ日本で知られていないのか
規模で言えばウクライナやガザを上回る局面がありながら、日本語の報道はとても少ないのが現状です。 理由として、次のようなことが考えられます。
- 日本人の関係者が少ない。在留邦人も、進出企業も、留学生の往来も限られます。
- 取材が入れない。ジャーナリストの安全が確保できず、映像も証言も出てきません。
- 「よく分からない」まま時間が過ぎた。当事者が2つの武装勢力で、善悪の構図が描きにくいこともあるかもしれません。物語にしにくい戦争は、報じられにくい傾向があります。
報道が少ないからといって、重要でないわけではありません。 むしろ、注目が集まらない危機ほど資金が集まらず、支援が薄くなります。 このサイトがスーダンを載せる理由はそこにあります。
日本からできること
スーダンで活動している日本の団体があります。数は多くありませんが、長く続けています。
関わり方はできることのページにまとめています。 紛争地では特に、物よりお金で支えること、現地へは団体を通して関わること、 報道が減ったあとも続けることが、助けになるかもしれません。
このページで使っている出典
- UNEP「Sudan Post-Conflict Environmental Assessment」(2007年)(取得: 2026年10月9日)
- Kevane & Gray「Darfur: rainfall and conflict」Environmental Research Letters(2008年、査読論文)(取得: 2026年10月9日)
- Copernicus Emergency Management Service「Flood in Sudan」(2024年8月、アルバアト・ダム決壊)(取得: 2026年10月9日)
- ACAPS「Sudan — conflict, displacement & humanitarian needs」(取得: 2026年9月21日)
- Council on Foreign Relations「Sudan’s Humanitarian Crisis, Explained」(取得: 2026年9月21日)
- IOM DTM「Sudan Displacement and Return Snapshot」(取得: 2026年9月23日)
- OCHA「Sudan Humanitarian Needs and Response Plan 2026」(2026年4月)(取得: 2026年9月23日)
- UNHCR「Global Trends」(2025年末時点)(取得: 2026年9月23日)
- IFPRI「IPC: Famine and food insecurity spread in Sudan as humanitarian crisis worsens」(取得: 2026年9月21日)
- UN News「Sudan faces unprecedented hunger and displacement as war enters third year」(取得: 2026年9月21日)
- 日本国際ボランティアセンター(JVC)「スーダンでの活動」(取得: 2026年9月21日)
- 認定NPO法人ロシナンテス「スーダンでの活動」(取得: 2026年9月21日)