国をまたいで

日本からできること

「何かしたい」と思ったときに、実際に取れる行動をまとめました。 どの国にも共通する考え方です。効果の大きさと始めやすさは必ずしも一致しないので、両方を書いています。参考にしてください。

1. お金を出す — 効果が大きいとされる方法

個人ができることの中でも、効果が大きいとされる方法です。現地の人件費で動く団体にとって、 日本円の寄付は購買力が大きく、渡航費もかかりません。

また、単発の大きな寄付より、少額でも続く寄付のほうが団体には助かることが多いようです。 継続的な収入があると、人を雇ったり計画を立てたりしやすくなるためです。

選ぶときの目安

  • 寄付金控除が使えるか — 認定NPO法人への寄付は税制優遇の対象。同じ負担でより多く出せます。
  • 年次報告と会計を公開しているか — 活動とお金の使い道を確かめる手がかりになります。
  • 現地に自前の拠点と人がいるか — 現地での活動を自分たちで続けられるかの目安になります。
  • 何を測っているか — 「何人に配ったか」に加えて「読めるようになったか」「収入が増えたか」まで報告している団体は、活動の成果が分かりやすいです。

月額寄付を受け付けている団体を見る(13件)→

2. 買う — 生産者に届きやすい

教育支援は寄付でしか関われませんが、農民・漁民の貧困は購入で直接関われる数少ない領域です。 たとえばフィリピンなら、コーヒー(ベンゲット、サガダ、カリンガ)、ドライマンゴー、カラマンシー、アバカや手工芸品など。

「フェアトレード」の表示に加えて、生産者がいくら受け取ったかを公開しているかも、 選ぶときの参考になります。

商品を扱っている団体を見る(3件)→

3. 技能を出す — 得意なことで関わる

現地の団体も日本の団体も、デジタル面で手が回っていないことがよくあります。 サイトの更新が止まっている、寄付の申し込み方法が分かりにくい、英語のページがない、などです。

こうした分野では、専門の技能が大きな助けになるかもしれません。 たとえばサイトの作り直し、オンライン寄付や定期寄付の導入、支援者の管理、ネット販売、活動報告のひな形づくりなどです。

手伝うときは、渡したあとに団体が自分たちで運用できる形にしておくと、長く役に立つかもしれません。 作ったまま更新できないサイトは、数年後に団体の負担になってしまうことがあるためです。

4. 行く — 1回目は、話を聞きに

現地に行くことにも、大きな意味があると思います。1回目は、支援をしに行くというより話を聞きに行くつもりで行くのがおすすめです。

  • いくつかの団体を訪ねて、比べてみる
  • 現地のスタッフに「何が足りないか」を聞いてみる
  • 支援先や金額は、話を聞いてから決めても遅くない
  • 受け入れ実績のある団体のスタディツアーに参加すると、紹介や安全面で心強い
  • 渡航前に、外務省の海外安全情報を確認しておく(ミンダナオの一部は危険情報のレベルが高い)

スタディツアーを実施している団体を見る(8件)→

5. 日本国内で関わる — 身近なところから

フィリピンやネパールなど、このサイトで扱う国の出身の人たちが、技能実習・特定技能、介護、留学、国際結婚の家庭などで 全国に暮らしています。海外の貧困は、日本国内にもつながっています。

  • 労働環境と権利の相談先が当事者に届いていない
  • 子どもの日本語教育(JSL)が追いつかず、進学で不利になる
  • ひとり親家庭の困窮
  • 送金手数料の負担(少額送金ほど率が高い)

お住まいの地域にも、こうした人たちが暮らしています。身近なところから始められ、現地に行くときのつながりにもなります。

出稼ぎという「解決策」のコスト(フィリピンの例)→

6. 戦争が起きている場所に、関わるなら

極度の貧困の半分は、すでに紛争や政情不安のある国に集まっています。 紛争地への支援には、ほかの支援と少し違う点があります。

物より、お金のほうが役立つことが多いかもしれません

人道支援の現場では、多くの場合、現金のほうが物資より役に立つと考えられています。 主な理由は3つです。

  • 選べる。何が足りないかは家庭ごとに違います。毛布が要る人も、薬が要る人も、バス代が要る人もいます。
  • 地元のお店が続けられる。外から物が大量に入ると、現地の商店や生産者が困ることがあります。現金なら地元で使われます。
  • 無駄が少ない。輸送や保管の費用がかからない分、同じ金額でより多くの人に届きます。

頼まれていない物資は、かえって負担になることがあります。 2010年のハイチ地震では、送られた古着が引き取り手のないまま港に積み上がり、 腐って害虫が湧き、支援物資を運ぶ飛行機の滑走路を塞ぎました。 善意で送られたものが、支援を妨げた例として繰り返し引用されています。

現地へは、団体を通して関わるのがよいかもしれません

紛争地への個人の渡航は、ほかの地域への渡航とは危険の大きさが違います。 本人の安全に加えて、外国人が巻き込まれると、現地の団体の活動が止まってしまうこともあります。 交渉や捜索、退避の手配に、限られた人手が割かれるためです。

関わりたいときは、すでにその地域で活動している団体を支えるのが、確実な方法のひとつかもしれません。

報道が減ったあとも

紛争は始まったときに注目と寄付が集まり、数か月で落ち着いていきがちです。 でも、人が家に戻り暮らしを立て直すには、そこから何年もかかります。 ニュースが減った時期の継続的な寄付は、この分野では特に助けになるかもしれません。

いま、戦争が起きている場所 →

紛争が終わったあと何が起きるか(ミンダナオの例)→

気をつけたほうがよいかもしれないこと

善意でしたことが、思わぬ負担になってしまうこともあるようです。よく挙げられる例をまとめました。状況によって違うこともあるので、参考程度に見てください。

  • 孤児院・児童養護施設でのボランティア。 施設で暮らす子どもの多くは、親が生きていると言われています。短期の訪問は子どもの心の安定に影響することがあり、 施設を続ける理由そのものになってしまう、という指摘があります(orphanage tourism の問題)。
  • 短期の建築ボランティア。 現地で働く人の仕事と重なってしまうことがあります。専門の人が建てたほうが品質の面でも安心です。
  • 中古品を集めて送る。 輸送費が中身の価値を上回ることが多く、現地のお店にも影響することがあります。 災害や紛争の現場では、届いた物資の5〜7割は、送る必要のなかったものだったという研究もあります。 仕分けや保管に現地の人手が取られ、支援が遅れてしまうことがあります。
  • 単発の寄付イベント。 受け入れや報告の手間が相手側に増える割に、続かないことが多いようです。
  • 困窮を演出した写真の撮影・拡散。 撮られる人の気持ちにも関わります。特に、同意のない子どもの顔写真は避けたほうがよいとされています。